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相続放棄の効果
相続人が相続の放棄をすると、初めから相続人とならなかったものとみなされるので、
すべてプラスの財産もマイナスの財産をすべて引き継ぐことはできません。
相続放棄は撤回不可です。
相続放棄は、一度してしまうと、撤回することができません(民法919条1項)。
ただ、だまされたりおどされて放棄した場合や、成年被後見人本人なのに放棄してしまった場合は取り消すことはできます(919条2項)。ただ、その期間は追認できるときから6か月、放棄の時から10年と限られています。
放棄をするには、自己のために相続の開始があったことを知った時から、
3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります(民法915条1項)。
ただし、例外的に、3か月以内に相続放棄をしなかったのが、
なくなった方に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、
そのように信ずるについて相当な理由があるときは、
3か月の期間は、「相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は
通常これを認識しうべき時から起算」すべきと最高裁判所はしました。
相続放棄をすると次順位の相続人が相続をすることになります。
相続人には順位があるので、
相続放棄すると次の順位の相続人がすべて遺産を相続することになります。
たとえば、夫が亡くなって、その妻と子が相続人となったものの、
多額の借金があったとします。
借金を相続したくないので、
妻と子が相続放棄をすると初めから相続人とならなくなるので、
第2順位の直系尊属つまり父母が相続となってしまいます。
その父母が借金の相続したくない場合は、相続放棄が必要となってしまいます。
そうしますと、今度は第3順位の亡くなった夫の兄弟姉妹が相続人となってしまいます。
兄弟姉妹が相続しないためには、兄弟姉妹も相続放棄をする必要がでてきます。
このように相続放棄をすると、
相続する地位が次の順位の相続人に移ってしまいますので、親族間で話し合わないと思わぬ形で、親族間でトラブルが起きてしまいますので、事前に親族間で話し合う必要があるものと思います。
1 相続人が、相続放棄するかしないか決める前に、
相続財産の全部又は一部を処分したとき。
相続が発生したことを知って、相続財産を使ってしまった場合です。
2 相続人が、相続開始から3か月を過ぎても、放棄も限定承認をしなかったとき。
3 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、
相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、
又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。
ただ、1の処分行為にあたるためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を
知りながら相続財産を処分したか、または少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を
確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要するとの裁判所の判断がありますので、
相続人が全く相続が開始したことを知らずに遺産を処分した場合は、相続放棄ができなくなることはないものと思われます。
未成年者は、自分ひとりで相続放棄はできないので、
親権者(父母)が代理して相続放棄をする必要があります。
夫が亡くなり、妻(子の親権者・母)と未成年の子が相続人であるときに、
子が相続放棄をするには、妻が子を代理する必要があります。
しかし、妻が子を代理して相続放棄をすると、
妻の相続分は増え、子の相続分はゼロなり、妻が得をしてしまいます。
このような状況を利益相反と言います。
利益相反にあたる場合は、親権者である母は家庭裁判所に特別代理人の選任を請求し、
選任された特別代理人が母に代わって、子の法定代理人となり、相続放棄をします。
子だけが相続放棄をする場合→利益相反にあたります。
親権者と子が同時に相続放棄をする場合→利益相反にあたりません。
※後見人と被後見人の間でも、同様な問題があります。
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